思い出すだけで顔が火を噴く過去の遺物。
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とある小道の道端。
傍らに腰掛け、男と少女が向き合っている。
辺りは真っ暗。所々からは虫の鳴き声も聞こえている。
「話は終わりだ。気は済んだか」
「待って、最後に一つだけ。おじさんの…えっと、るーつ…は何なの?」
言葉に慣れないといった様子で、小首を傾げながら少女は尋ねる
先程までの曇った表情は消えている。どうやら機嫌は直ったらしい。
「それを知ってどうする」
「言ってはいけない事…でもなさそうだよね?」
単なる好奇心からくる念押し。いつも通りの言葉の応酬。
しかし男は、拭いきれない違和感を感じ取っていた。
「……エンドブレイカーの殆どはイノセントだ。俺も例外じゃない」
瞬き、少女の動きがびく、と止まる。
そして、繕うようにくすりと笑う。
ものの数秒のやりとり。だが、男の違和感を確信に変えるには十分だった。
「天才、なのね」
「ちっ…だから黙ってたんだ。ああ、端折って説明しなけりゃ良かったのか…」
「ふふっ、何だか…格好いいね」
からかうように、ごまかすように、悪戯な笑みを浮かべて少女は続けた。
男は珍しく困惑した様子で語調を乱し、道化を演じた。
想いを胸の内にしまいこんだ二つの影は、夜の闇へと消えていった。
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